【札幌 弁護士コラム】「老人喰い」と特殊詐欺(振り込め詐欺)に関する雑感

【札幌 弁護士コラム】「老人喰い」と特殊詐欺(振り込め詐欺)に関する雑感

先日、「老人喰い」を読んで、詐欺を未然に防止するためのお話を少し書きました。

<【札幌 弁護士コラム】「老人喰い」に遭わないための家族信託>
http://answerz-law.com/%E5%AE%B6%E6%97%8F%E4%BF%A1%E8%A8%97/post-3806

今回はその本の中身の話を少々。

この本の内容は、特殊詐欺を実行している人達の実態を記したものですが、にわかに信じがたく、真実であるとすれば衝撃的な内容が多く含まれていました。

まず、どのような人が特殊詐欺を実行しているのか。
これは簡単に分けると、スポンサー的な存在(金主)、マネージャー的な存在(番頭)、電話掛けの実行者(プレーヤー)、金銭を受け取りに行く実行者(受け子。なお、振り込まれた金銭を出しに行く実行者を出し子といいますが、最近では振込みが減っているとのこと。)という4つの役割に分かれます。
その中でも収益の分配や逮捕される危険性については明らかな差があり、金主や番頭はまず逮捕されることなく大きな利益を得ることができるとされています。
プレーヤーについては十分な管理がなされている組織(店舗)においては逮捕されることはなく、多くの案件を成立させる者は、数千万円単位の報酬が得られるようです。
受け子については、「使い捨て」のような存在であり、逮捕されるリスクが高く、報酬も大きいものにはなりません。

それではどのような組織が特殊詐欺を行っているのか。
これについても時代の変遷があるとされています。
初期のころは軽いノリで若者が始めたものの、暴力団からは詐欺は蔑まれており、組織的な活動には至っていませんでした。
それから逮捕者が出てくることによって、受け子(出し子)とプレーヤーを切り離す仕組みが取られるようになったり、単なる名前や電話番号だけの名簿が用いられていたものが、詐欺被害に遭った履歴などが載った名簿が出回り始めたりするなど、組織化、高度化が図られるようになってきました。
その母体についてもいわゆる「ヤンキー」を束ねて行われていた時代から、大学を卒業したような者が知恵を出すような時代に至り、一方で最近の暴力団対策によって資金源を断たれた暴力団まで参入を始めているようです。

そのような組織に関する話で驚いたのがその統制教育についてです。
詐欺の電話をかけるにあたってのスクリプトや対応マニュアルがあるのは当然ですが、それよりも重要視されているのが思想教育とでもいうべきものです。
組織によって異なるのでしょうが、紹介されていた組織ではいかがわしい自己啓発セミナーのように大声を出させたり、自己否定と自己肯定を繰り返させたり、暴力的な方法を用いて思想統制を行うようなことが行われています。
そこでは「金持ちの老人から金銭を取ることは悪ではない。」「金持ちの老人は貧しい若者を搾取している。」などといった思想が語られており、金持ちの老人から金銭を取ることを肯定的に解釈させようとされています。

もちろん、いくら金銭に余裕がある人からであっても金銭を騙し取るようなことは決して肯定されるものではありません。
しかし、この思想の背景にある「高齢者への富の偏在」というのは確かに社会問題であると捉えられなければならない問題です。
高齢者の「タンス預金」などの金銭は、相続が発生するまで社会に還流されることはまずなく、景気循環の阻害要因になっている部分は否定できません。
そう考えてみると「若者の貧困を発生させているのは高齢者」という見方もできないでもありません。

詐欺によって無理やり還流させることは間違っていますが、高齢者に対して何らかの価値提供を行い、いい形での高齢者からの金銭の還流を発生させるようなビジネスは今後、一層必要性が高まってくるのではないでしょうか。。

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