【札幌 弁護士コラム】「伝え方が9割」といいますが…:会話での相手に対する伝え方とは

【札幌 弁護士コラム】「伝え方が9割」といいますが…:会話での相手に対する伝え方とは

やや恒例となってきていますが、今回も荒木と司法修習生とのやり取りからの抜粋です。
今回は「電話で相手にいかにすれば自分の伝えたいことを伝えられるか。」という質問を受けましたので、それに対する回答です。
なお、「伝え方が9割」という本の内容には一切準拠していませんのでご了承ください。汗

他人に自分の認識や考え方を伝えるというのは容易なことではありませんが、人が生きていく上で絶対に避けては通れない
部分ですので、伝える方法には必要以上に敏感にならなければならないのではないでしょうか。

(以下、引用です(一部修正しています。)。)

自分の考えていることを相手に的確に伝えるということは今も昔も非常に難しいことの
1つに挙げられると思います(だからこそ「伝え方が9割」なる本が良く売れるのだと思います。)。

私も100点満点の伝え方ができているなどということは毛頭考えていないので、
非常に僭越な話ではありますが、それでもいくつか意識しているポイントがありますので多少コメントしたいと思います。

 まず、話すということは常に双方向性のコミュニケーションであることを意識することです。
もちろんリアルタイムで言葉のキャッチボールをやる場合には当然に相手のリアクションを意識して
話すと思いますが、これが手紙のやり取りであったり、タイムラグがある伝言であったりすると
途端に双方向性を持つという意識が欠けてしまうことがあります。

また、リアルタイムのやり取りをしているつもりでも立場の違いがあって、相手が思うことが言えない
立場であったりすると、表面上のやり取りにおいて双方向性が実は失われていることもあります。

そこで大切なのは、自分が発信したメッセージが、相手にとってどのように受け止められるかを
常に意識することであると思います。

これにも段階があり、①リテラシーの問題、②意識の問題、③関係性の問題などがあると思います。
①は主に知識の問題ですが、法律用語を知らない人に法律用語満載の話をしても一向に伝わらないので
あるため、まずは相手に知識が十分にあるかを考える必要があるということです。
②は、相手が自分の話に十分な注意を払って聞いているかを確認する必要があるということです。
③は、相手が自分の話を聞いたときに好意的に受け止める立場にあるのか、敵意をもって聞く立場に
あるのかを考える必要があるということです。
これらの点を意識するとおのずと相手に伝わりやすい話し方かどうかを考えるようになるのではないかと思います。

次に、話の流れを想定する、ということです。

自分から話し始めるときには、自分はこう話す、相手はこうリアクションする、それに対して自分が
こう返す、その結果として話はこうまとまる、といったシミュレーションをしてから話すということです。
上記の話にも関わることですが、相手が自分の話をどう受け止めているのかを想定できれば
ある程度、相手のリアクションを想定できてくる部分があるはずです。
そうするとそれに対して自分がさらに何を伝えたいのかを予定することができるはずです。

私は将棋が趣味なのですが、このようなことを「三手の読み」といいます。
会話においても常に「三手の読み」を意識していくと、おのずと会話の結論まで想定ができるようになってきます。
その想定通りに話が進むのであれば相手も自分の話を理解していることが確認できますし、
逆にスムーズに想定通りに話が進まないようであればどこかで理解が及んでいない部分があるはずですので、
話を戻してその部分を洗い出すという作業が必要になってきます。
そのように話の流れを想定しておくということも重要だと思います。

また、例えをうまく使う、ということも大切です。

特に法律の専門家が法律の素人に話をする場合のように、どうしても伝わらない法律上の概念を
伝えなければならないときには例えを使うことは必須になってきます。
例えば破産事件において「免責」という概念を伝えるときに、相談者に「免責されるということは、これまでの
債務が執行力を失って自然債務になるんですよ。」といっても絶対に伝わるわけがありません。
このようなときには「免責されるということは、」「これまでの赤字が真っ白になるようなものです。」とか
「徳政令が出されたようなものです。」とか「借金から無罪放免されるようなものです。」といった例えを
使うことによってうまく伝えることができるようになります。
もちろんどのような例えであれば相手にうまく伝わるのかは、相手のバックグランドを見て考えなければなりません。

さらに、まとめをうまく作る、というのも重要だと思います。

高校の国語の授業で、文章の作り方について「頭括型」とか「双括型」とか「尾括型」といった用語が
出てきたかと思いますが、話の作り方についてもまとめをどこにおくかというのは重要です。
私は極力「双括型」を用いて、話の最初と話の最後にまとめを持ってくることが望ましいのではないかと
思っています。
もちろん、話の目的によってはこの形態が変わりますが、単に目的を伝える場合であれば、
例えば補充捜査の依頼の場合、最初に「今回は補充捜査のお願いでお電話を差し上げました。
お願いしたい捜査は、①現場状況の写真撮影の追加、②関係者への追加の聞き取り、③防犯カメラの
映像の確認です。詳細は①については…。」という形で初め、最後に「以上のように、①現場状況の写真撮影の追加、
②関係者への追加の聞き取り、③防犯カメラの映像の確認の3点をお願いしたいと思いますので、
ご対応頂けますようお願い致します。」という形で締めるようにします。

そうすると、会話の中盤で話が広がってきたとしても、最終的に何の話だったのかがぶれることになりません。
最後にまとめることによって、例えば話の途中で④証拠物件の指紋の採取ということが入ってきたとしたら、
相手から「指紋の採取はやらなくて宜しかったでしょうか。」などと確認する余地が生まれ、認識の齟齬がなくなります。

 以上、思いつくままに書いてみましたが、多少の参考になればと思います。

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