【札幌 弁護士コラム】人質型ビジネスをどうとらえるか

【札幌 弁護士コラム】人質型ビジネスをどうとらえるか

(本記事は平成29年2月17日分の未投稿記事です。)

 

弁護士という仕事をしていると「裁判の仕事が多いんですか。」とか、「やっぱり困ってやってくる人が多いんでしょう。」とか、「弁護士さんに仕事を頼んだら結構高いんでしょう。」とか、色々と言われます。

これらに共通しているのを、はばからずにいうとすれば、「切羽詰まっている人の窮状に付け込んで高い金を取っている」というイメージを持たれているのではないかということです。

 

このような切り口で考えてみると世の中の仕事は前向きな仕事と後ろ向きな仕事に分けられるように思えてきます。

例えば、前向きな仕事とはおいしい料理を提供する料理人だったり、会社の業績を伸ばすためにアドバイスをする経営コンサルタントだったり、人の幸せな門出を演出するウェディングプランナーだったりするわけです(なお、これらの職業の方が常に明るく楽しく前向きに働いているという趣旨ではありません。あくまで提供される仕事の中身の話です。)。

これに対して病気になってしまったことに対処する医師だったり、起こった犯罪の捜査をする警察官だったり、排出された廃棄物を処理する業者だったり、なくては不便になってしまうから興った業種もあります(こちらも働いている方がネガティブな思いでやっているということを言わんとしているわけではありません。念のため。)。

そして弁護士という職業も後者の側に分類されているわけです。

 

さらに後者のほうでも程度の問題というのもあります。

例えば体の不調を覚えたときに、ちょっと疲れが溜りやすいなと思う程度であればコンビニのサプリメントでも飲んでおこうかという話になりますし、少し進んで何だか熱っぽいなと感じたら薬局で薬を買ってくることになるでしょうし、さらにこれまでに感じたことのない痛みを感じるようになったら病院に行かざるを得なくなります。

そのように後ろ向きな仕事の中でもカバーする領域によって色分けがなされています。

 

しかし、そのような色分けというのも専門家から見た場合と消費者側で見た場合にずれが生じることもあります。

上記の例えでいうと体の不調を感じている人がずっとサプリメントで何とかしようとしていたとして、ついに耐え切れなくなって病院にきたとき、医師が「どうしてこんなになるまで放っておいたんですか!」と言いたくなるような場面もあるでしょう。

これはこの人にとっては「病院=病気が進んで日常生活に支障をきたした段階で行くところ」という認識が医師の認識とずれていることから発生したものです。

 

一方で「ここまできたら絶対に利用しなければならない。」というとこを見据えたビジネスもあります。

例えば人が亡くなったら絶対に葬式をしなければならない、という観念がある状況での葬儀社や寺社のようなところです。

このようなビジネスはややもすると「できなきゃ困るでしょう。やるんだったらお金を払いなさいよ。」という形で、あたかも人質を取っているかのようにお金を稼いでいるようにも見えます(誤解を受けやすい表現ですが、葬儀社や寺社に何か批判したいという趣旨ではありません。)。

これを私(荒木)は「人質型ビジネス」(造語)と呼ぶようになりました。

弁護士の旧来的なビジネスモデルというのはまさしくこれで、「訴訟は弁護士しかできないでしょう。」とか「破産するんだったら弁護士に任せるしかないでしょう。」とか「弁護士をつけないと相手と話もできないでしょう。」とか、「弁護士に頼まなければ、解決はない。」というような世界であり、多くの方はこのイメージを持ち続けているものと感じています。

 

しかし、本当は弁護士ができる仕事は多岐に及ぶのであり、人質ばっかりとらなくてもいいんじゃないかな、というのが私の考え方です。

やはり人質をとってむりやり報酬をもらうよりも、ありがたがられて好意で報酬を頂けるほうがお互いにとってプラスが多いのではないかと考える今日この頃です。

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