【札幌 弁護士コラム】家族信託の伝え方・広め方

【札幌 弁護士コラム】家族信託の伝え方・広め方

今日は朝からフィンランドの物品の展示会に行った後、午後は河合保宏先生のセミナーを聞きに行きました。

http://www.takken.ne.jp/pdf/20170222.pdf

 

テーマは「実家を空き家にしない!」ための家族信託の活用法でした。

宅建業者の方、士業の方、一般市民の方と聴講者の層は幅広かったのですが、どの層に対しても有益な情報を提供されていた進め方には関心させられる部分が多々ありました。

 

私も山ほどセミナーをやらせて頂いておりますが、なかなか一般の方に家族信託の良さをお伝えするのは難しいと感じております。

今日の河合先生のお話でもありましたが、一般の方の常識(というか法律家のかなりの割合の人も含めた常識)として「物には誰かの所有権がある。」「亡くなった人の財産は相続でないと引き継げない。」「認知症対策は成年後見しかない。」というようなことがあるため、信託というものの位置づけがあまり理解されていないという状況があります。

これを打破しなければ、家族信託の本格的な普及はありえないのではないかと考えています。

 

この打開策としていくつかの手法があると考えています。

 

まず1つ目は正攻法による正面突破。

すなわち、一般の方に対しても所有権とは何か、相続とは何か、信託とは何か、信託による財産、受益権の承継はどのように行われるか、登記とは何か、家族信託でできることとはどういうことか、等を1から説明し尽す方法です。

しかし、このようなことが一般の方に対してもまず通じることはなく、現実的なやり方ではありません(本気でやろうとしたら司法試験に合格できるレベルまでのレクチャーを行わなければならいと思います。)。

 

2つ目はメリットや効果だけを述べる方法です。

すなわち、「家族信託を使えば奥さんに財産を渡した後、ご長男に財産を引き継げます。」とか「家族信託を使って法人にアパートを移せば不動産流通税が安くなります。」とか「家族信託を使えば自宅が売れなくなることを防げます。」といったようなことだけをお伝えして、細かいところについてはお任せいただくという方法です。

しかし、委託者兼受益者についてはそれでいいのかも知れませんが、受託者については信託法上の義務を負っており、かつ信託契約を円滑に進めてもらう必要があります。

また、委託者兼受益者にとっても不動産の名義が変わってしまうことや、預金の名義が変わってしまうことで不安がられる方もいらっしゃいます。

このため、ご相談にいらして頂くまでの間のやり方としては必要なことかもしれませんが、実際に案件を進める段階になれば理論的な背景や、リスクなどもご説明する必要が出てきます。

このやり方一本ではやはり難しいでしょう。

 

3つ目のやり方は例え話によって理解してもらう方法です。

すなわち、「家族信託というのは、ご自身の持っている財産をお子さんに預かってもらうようなものです。」とか「信託によって名義が変わることは、財産の入っている箱に書いてある名前が変わるだけで、中身に書いてある名前は変わらないようなものです。」とか「亡くなったときに受託者から財産が渡るのは生命保険と同じようなものです。」等と一般の方にわかりやすいように、ある程度かみ砕いた言い方をする方法です。

しかし、これについてもやや不正確な表現になってしまうおそれがあり、細かいところまで完全に比喩にすることができないのが難点です。

 

4つ目のやり方が、保険、金融や不動産の営業マンの方に十分に理解して頂き、翻訳して頂いて一般の方に説明して頂く方法です。

これが本来的には一番良いと思っているのですが、保険、金融や不動産の営業マンの方にご理解頂くことも簡単ではないことや同じ方に提案して頂くことでビジネス的なメリットがずれている場合もあることがネックになる場合もないではありません。

 

いずれにしても、まだまだ地道な普及活動を進めなければならないと感じるとともに、普及の方法論の検討も合わせて進めていかなければならいと考えている今日この頃です。

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