【札幌 弁護士コラム】定跡と判断基準とその応用

【札幌 弁護士コラム】定跡と判断基準とその応用

昨日のブログをお読み頂いた方にはご案内かと存じますが、私(荒木)は昨日を持って「将棋ウォーズ」を卒業しました(涙)。

ここのところ、3分切れ負け(制限時間3分で1局を指しきらなければならないルール)のコツを掴み始め、昇段が見えてきていたところであっただけに、なかなか寂しい思いもあります。

 

ともあれそこで考えたのが、将棋も人生(やビジネス)に共通することは判断の連続であるということです。

将棋において今ある局面になっているのも、人生において今ある状態におかれているのも、過去に行った判断の結果でしかないのです。

「運なんかもあるし、そんなこともないんじゃないか」という意見もあるかもしれませんが、外部的な要素は自分では変えられないため、将来を変えるためには今から将来の間までの判断を変えなければなりません。

そして、将来においていい状態を迎えるためには、いい判断を行わなければならず、いい判断を行うためにはいい判断基準を持たなければなりません。

 

しかし、いい判断基準というのは得てして簡単に決められるものではなく、人1人のわずかな知識や経験だけで完璧なものを作ることは容易ではありません。

そこでいい判断基準を体得するためには他人の持っているいい判断基準を拝借する(パクる)のが一番手っ取り早い方法です。

理想をいえば、自分(の目標)から考えて理想的な判断基準を持つ人につき従って手取り足取り教えてもらうことですが、そう簡単には行きません。

そこで利用すべきなのが、将棋でいえば「定跡」です。

 

「定跡」(囲碁では「定石」といいます。)とは、昔から研究されてきて(両者ともに)最善とされる、きまった指し方のことをいいます。

将棋では序盤は手が広く(指し方のバリュエーションが広く)、特に初心者にとってはどの駒から動かしていいのかすらよくわかりません。

そこで一定の決まった指し方をまず覚えて、ある程度いい勝負ができるような局面を作った状態から考える力を付けていくというのが上達法として定着しています。

 

この「定跡を守る」という考え方は、人生における判断基準について以下のような示唆をあたえています。

 

1つ目は、一定程度の確からしい出来合いの判断基準をもたらし、思考の省略を可能にさせることです。

「定跡」は必ずしも万能ではありませんが(「力戦型」と呼ばれる「定跡」が整備されていない戦いになる場合があるため)、場合によっては1局の半分の指し手を「定跡」に従って決めることができ、相手が「定跡」を知らなければ「定跡」どおりに指しているだけで優位に立てることがあります。

特に時間の短い将棋(私がやっていたのは3分の考慮時間で1局分(約50手)を指すようなルールでした(汗)。)では、1手1手をじっくり考えるわけには行かず、ある程度は定跡どおりに指さなければ進められません。

そのように一定の時間的制約の中である程度確度の高い結論を導ける判断基準を持つということが非常に重要だと考えられます(心理学用語でいうヒューリスティックスはこれにあたります。)。

 

2つ目は、「定跡」といわれるものであっても時代とともに変わっているということです。

将棋自体のルールはかなり前に確立していますが(遅くとも江戸時代には現在と同じルールに統一されていたようです。)、昔と今での「定跡」はかなり変わってきています。

例えば昔は「居玉(玉を動かさないまま将棋を進めること)は避けよ」といわれていたのが、居玉のままで相手の玉に攻めかかる「藤井システム」という戦法が一般的になったり、「振り飛車には角交換(振り飛車戦法を取ってくる相手には角を交換するように進めよ)」といわれていたのが、逆に振り飛車側から角交換をしてくることが一般的になったりと、昔の常識が通用しなくなっているものもあります。

また、最近ではコンピューターのレベルが上がり、プロ棋士に勝つこともざらになっていますが、プロ棋士の感覚では受け入れがたいコンピューターが作りだした「定跡」というものも出始めています。

このように同じルールで行われており、外的な要素がない将棋においても「定跡」が変わるのですから、外的な要素がふんだんにある人生においてはさもありなんということです。

「定跡」や「常識」というものも時代とともに疑わなければならないものもあるということがいえます。

 

3つ目は、「守破離」が大切ということです。

上記のように「定跡」は、対応できない場合もあることや時代とともに変わっていくことから完璧なものではありません。

しかし、最初から「定跡」を無視しているとそう簡単に将棋は強くなりません。

まずはしっかりと「定跡」を守り、「定跡」を疑えるほどの力がついたら「定跡」から外れた手を指し始め(これができるのはプロかアマチュアでも全国大会レベルの人に限られます。)、それでも勝ち続けられるようであれば初めて「○○流」といった独自の指し方ができるといわれています。

人生においても同様で、最初から他人の意見に反発し、反抗ばかりしているようでは十分な成長は見込めません。

反発、反抗ばかりしている人でもときどき成功している人もいるやに聞きますが、そのような人はどこか一部分については、しっかりと誰かの教えを守っているものと考えられます。

 

だいぶ長くなっていまいましたが、このようなことは会社経営についても同様にいえます。

会社経営にも「定跡」はあり、会社経営の「定跡」を身につけることで一定の合理的な判断ができ、会社経営の「定跡」も時間とともに変化していくということです。

その上で「守破離」のレベルがあり、「離」のレベルに至って初めて会社経営も成功と呼べるものとなるのです。

 

弁護士の仕事としてまずできるのは「守」の部分、すなわち会社経営の「定跡」レベルと呼べる契約書や社内文書をきちんと整備することです。

いろいろとやりたい事業があり、資金繰りその他の心配ごともおありかとは思いますが、経営者はまずは「守」の部分を固めることを考えるべきではないでしょうか。

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