【札幌 弁護士コラム】家族信託ってなんだろう?(5):家族信託と認知症・相続対策③

【札幌 弁護士コラム】家族信託ってなんだろう?(5):家族信託と認知症・相続対策③

③株式の相続:事業承継

オーナー経営者の場合、自社の株式の多くを保有している場合が大半です。しかし、事業承継にともなう株式の承継は簡単ではない場合があります。このような問題についても家族信託は有効です。

 

まず、贈与税の問題があります。すなわち、オーナー経営者が健在な間に後継ぎに株式を贈与しようとすると、株式の評価額に対して贈与税が課税されます。

また、後継ぎが後を継いだ後、それまでどおりの経営が出来るかを見極める必要があります。株式全部を贈与してしまうと、経営権が一挙に後継ぎに移転してしまい、会社経営の継続性が保てなくなってしまう場合があります。

さらに、オーナー経営者が何も相続対策をせずに亡くなってしまうと、遺された相続人は会社経営をどうしてよいかわからず、戸惑ってしまいます。株式の分配がうまくいかないと紛争の原因となり、ひいては会社経営を続けることができなくなります。

 

これらの問題を解消するための家族信託の使い方を見ていきましょう。

第一の贈与税の問題に関しては、オーナー経営者が後継ぎに対して株式を信託した場合、株式の名義が後継ぎに移転しますが、受益権がオーナー経営者にある限りにおいては贈与税は課税されません。株式を信託した場合、議決権の行使については後継ぎに任せることもできますし、オーナー経営者自信に留めておくこともできます。

第二の後継ぎの見極めの問題に関しては、オーナー経営者が後継ぎに対して株式を信託した上で、第一の問題とは逆に議決権をオーナー経営者に留保して、株式の名義と配当を受ける権利等を後継ぎに渡すようなことが可能です。

第三の株式の分配の問題については、オーナー経営者が第三者に対して株式を信託しておくことで死後の株式の帰属を定めて、対策することが可能です。遺言でも株式の帰属を決めることは可能ですが、遺言を作成する場合にその内容を周知することは稀であり、死後、遺言が発見されてからの対応となるため、十分な対策とはなりません。家族信託の場合には生前から株式の承継方法が明確にされることから遺言よりも対策として有効といえます。

 

このように家族信託は事業承継の対策としても有効性が認められています。

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